スウォッチグループ、バーゼルワールドからの撤退を表明

2018年7月28日、時計界に激震が走りました。世界最大級の時計・宝飾品新作見本市であるバーゼルワールド。2019年より、スウォッチグループが同展から撤退することを表明したのです。スウォッチグループはバーゼルワールドにおいて、ロレックス・パテックフィリップ・LVMH(タグホイヤー、ゼニス、ウブロなど)・ショパールなどと並び「BIG5」と称され会場を盛り上げてきた言わばメイン。そのスウォッチグループに、一体どのような葛藤があったのでしょうか。そしてこの先どうなる、バーゼルワールド!? 目次スウォッチグループの最高責任者であるニック・ハイエック氏が、スイスの地元新聞「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング」のインタビューで、2019年3月のバーゼルワールドより出展を取り止めることを表明しました。スウォッチグループといえば、オメガを筆頭にブレゲスーパーコピー、ブランパン、ハリーウィンストン、ロンジンやジャケドローにラド―、そしてハミルトンなど、ハイエンドからエントリークラスまで有名な18ブランドを抱える時計業界の一大勢力。このグループへの商談のために足を運んでいた業界人も少なくありません。↑2013年よりスウォッチグループ傘下となったハリーウィンストン バーゼルワールド2018でも一見盛り上がりをみせていたと思われた同展示会。しかし、ハイエック氏は離脱の大きな理由として、と話します。実際、出展料は非常に高額で、小さなブースを借りるだけで少なくとも100万円、メイン会場ともなると億単位が企業の負担としてのしかかってきます。以前はバーゼルワールドでの商談が年間売上に大きく関わっていました。しかし、今はSNSなどインターネット上での販促が広がり、バーゼルワールドにかつてのような宣伝効果や旨味は少なくなってきたと氏は語ります。出展:https://www.facebook.com/omega/?ref=page_internal↑オメガの公式フェイスブックでいち早く紹介されたバーゼルワールド2018発表モデル また、重要商談の場である新作見本市がこともあります。リシュモングループが率いるSIHHは2017年に一般公開に踏み切り、また出展料もバーゼルワールドに比べるとかなりリーズナブルということで、規模を拡大してきています。2015年より開催しているドバイウォッチウィークも好調。このように、バーゼルワールドだけを新作見本市の金字塔とする向きは、今や過去のものとなった現実が突き付けられているのです。 では、今後スウォッチグループの新作はどこでお披露目されるのでしょうか。近年はどのブランドも「プレバーゼルワールド」と称し、自社ホームページやSNSで新作発表を先駆けて公開してきました。その向きが拡大することは確実でしょう。グループ内のブランドによっては、各国でのイベントや旗艦店でのお披露目フェアに力を入れてくるところもあるようです。ただ、時期についてはバーゼルワールドにぶつけてくるのか、SIHHのように年始となるのか。あるいはバーゼルワールド以外の見本市に参加するのか。今後の動きに注目です。 ご存知のように、バーゼルワールドからの撤退を表明した大手ブランドはスウォッチグループが始まりではありません。例えばカルティエやIWC、パネライなどを傘下に加えるリシュモン。1991年という早い段階から離脱し、「高級感ある落ち着いた雰囲気」というバーゼルワールドとは対極なコンセプトを持つSIHHを開催。近年ではエルメスやジラールペルゴがバーゼルワールドからSIHHに移籍しています。ブライトリングも公式SNSや各国でのフェアを優先させてきていることで有名ですね。出展:https://www.piaget.jp/piaget-society/2018-sihh↑SIHHのピアジェ会場 バーゼルワールドの規模は年々縮小してきています。2017年には1500社だった出展数、実は今年は。出展スペースも縮減され、2017までは8日間あった期間も6日と変更されました。バーゼルワールド主催グループのMCHは「量より質を重視する」と明言していますが、果たしてどこまで主催者側の意向かは判断できかねますね。ある関係者は、スウォッチグループが抜けたことにより今後のバーゼルワールドの展開がより一層難しくなったと語っており、さらなる規模の縮小は免れないでしょう。しかし、悲観ばかりしているわけではありません。スウォッチグループは過去にも一度バーゼルワールドを離脱しており、その6年後にまた復帰を果たしています。この度、MCH側はスウォッチグループの撤退宣言を受けて、バーゼルワールドをよりバランスよく、対話的であることにフォーカスしていくと新たに表明しました。それは、全ての消費者、時計メーカー、メディアなどを対象にしていると言います。具体的には、特別展やサミットなどで有効スペースをより使いやすくする。地域一丸となってホテル価格やサービスを見直す、などが挙げられました。MCH側はこういった改善策を行い、スウォッチグループを再び呼び戻すことに意欲的なようです。もちろんこの試みの賛否はあるでしょうが、まだロレックスなど他の主要出展ブランドは何も語っておらず、今後のバーゼルワールド展望に対し捨て鉢になるのは、いささか早すぎるでしょう。 バーゼルワールドは2018年に100周年を迎えた、世界最大で由緒正しい時計・宝飾の新作見本市。この場を唯一無二の商談の場とする向きは未だ時計業界には根付いています。それを旧態依然ととるか伝統ととるかは人それぞれ。しかし、MCHが変わるべきターニングポイントに差し掛かったことに間違いはありません。やはり、バーゼルワールドは例年楽しみなイベントであることも事実。MCH側にはぜひ頑張ってもらいたいものです! 関連記事 現地から速報!バーゼルワールド2018レポートバーゼルワールド・SIHH・WPHHとは?各見本市に参加するブランドについてスイスの時計見本市バーゼルワールドってどんなところ?