もはや美術工芸品。時計技術の最高峰トゥールビヨン

トゥールビヨンとは、時計製造の技術の中で最も難易度の高い、世界三大複雑機構のうちの一つ。
精度を向上させるという時計において根源的な役割にもかかわらず、発明から200年以上経つ今なお構築できるブランド・職人は限られています。そんな難解複雑なこの機構、時計愛好家にとっては憧れであり機械式時計が有するロマンの象徴とも言うべき存在であることをご存知でしょうか。トゥールビヨンとは?
トゥールビヨンを製作できるブランドは?
トゥールビヨンが搭載された時計の価格は?安いものもあるって本当?この記事では、トゥールビヨンに関する美しくも精緻な世界をご紹介したいと思います。 出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/our-maison/the-manufacture.html?JLCclick=menubar 目次そもそも、トゥールビヨンとは一体どのような機構を指すのでしょうか。解説いたします。 機械式時計が常に挑み続けてきた命題、それは精度の向上。日に数秒から数十秒ずれてしまうことが一般的な機械式時計ですが、精度を落としてしまう要因の一つに「」があります。
姿勢差とは時計の向きやポジションの変化により、ムーブメントにかかる重力の方向が違ってくることで進度に生じる、時計の誤差のことを指します。置き時計や掛け時計とは違い、腕の動きなどにより向きが変わってしまう懐中時計や腕時計は、姿勢差の影響を大きく受けやすいのです。この姿勢差を解消するための機構が、トゥールビヨン。
懐中時計が主流であった1800年代、「時計の歴史を200年早めた」と名高いアブラアム・ルイ・ブレゲスーパーコピー氏によって発明されました。出典:https://www.breguet.com/jpブレゲスーパーコピー氏はトゥールビヨンの他、同じく世界三大複雑機構として並ぶミニッツリピーター、永久カレンダーを開発したまさに天才時計師です。 トゥールビヨンは一定の姿勢でいることを時計自ら補正する特殊機構で、原理としては、通常の機械式時計では固定されている「がんぎ車」と振り子の役目を担う「テンプ」を、特殊なキャリッジ(籠)に収め、させながらさせ、する装置です。キャリッジは通常秒針が配される個所に設置され、回転は一般的なもので1分間に1回転。そのため、スモールセコンドの役割をも果たすことが一般的。トゥールビヨンとはフランス語で渦を意味しますが、キャリッジが回転する様がさながら渦のようであったことから命名されました。ちなみにこの機構を構築するためには150をゆうに超えるパーツが必要となります。
組立にも大変緻密な設計と調整を要し、1980年代には「」などと言われたことも。現在でも熟練した手作業に依るところが大きく、トゥールビヨンが搭載されたモデルは非常に高額となります。 これだけ複雑で難度の高いトゥールビヨン。
実は現在ヒゲゼンマイ等の材質向上や技術躍進により、腕時計への姿勢差の影響は格段に少なくなりました。そのため、実用面での必要性はあまりありません。それどころか、トゥールビヨンのパーツ数の多さやキャリッジを回転させるためのトルクの重量などにより、通常のムーブメントに比べ重力の影響を受けやすいのです。実際、戦後にオメガやパテックフィリップが開発に挑みましたが精度ではあまりふるわず、クォーツの台頭と併せてその有用性は失われつつありました。しかし1983年、ブレゲスーパーコピーがトゥールビヨンを腕時計に搭載させたモデルを復活させます。
世界的に見て希少で複雑な機構を、「時計の精度向上のため」ではなく「」として売り出したのです。この戦略は見事成功。
製造できる時計師が世界的に少数であるレア感に加え、トゥールビヨンの渦の美しさそのものが時計愛好家にはたまらないロマンとなりました。トゥールビヨンモデルの多くは文字盤をシースルーにし、その渦巻く様を鑑賞できる仕様となっています。出典:https://www.audemarspiguet.com/jp/watch-collection/royal-oak/26347TI.OO.1205TI.01/ちなみに購入価格は1千万円並のものがほとんど!しかしトゥールビヨンにさらに複雑な機構を搭載させたり回転にバリエーションを加えたりと、まだまだ各社開発の手は止まりそうにありません。 そんな複雑機構のトゥールビヨン。近年では様々に進化を遂げており、ブランドによって目で見て美しくも面白い新機構が構築されています。 まず一つ目が、ノーマルトゥールビヨン。先程ご紹介した、キャリッジとそれを固定するためのブリッジを持つ、昔ながらの手法です。 フライングトゥールビヨンとはブリッジをなくし、キャリッジが浮いているように見える機構のこと。トゥールビヨンの動きをもっとよく見るために近年開発されました。完全になくしたものからブリッジを一本にしたもの、ブリッジを細くしパッと見ではわからないようにしたものなどブランドによって工夫がありますが、いずれもブリッジで支えられたキャリッジより均衡が崩れやすいため、難易度は格段に上。キャリッジ自体も軽量にしなくてはなりません。↑タグホイヤーのフライングトゥールビヨンCAR5A8W.FT6071 ちなみにカルティエのマニュファクチュールが誇るミステリークロック。透明なディスクを針やムーブメントが浮いているように見える超絶技法ですが、そのトゥールビヨンも圧巻。出典:https://www.cartier.jp/なんでもパーツを巧妙に隠し、2枚のサファイアクリスタルに支えられているのだとか。トゥールビヨンは趣味性の高い機構となっていますが、その究極がカルティエのこのシリーズではないでしょうか。ちなみにその他のブランドでは、ブランパンやピアジェがこの手法をとっているようです。 トゥールビヨンに魅せられた職人は多いもの。とりわけキャリッジを個性的な形状にする工夫はよく見られており、トゥールビヨンの芸術性にまた一つ付加価値が加えられつつあります。何かのモチーフに形作られたり、キャリッジを微小に設計・または廃したミステリートゥールビヨン・・・さらに、近年では素材にチタンなど軽量素材を使用し、トゥールビヨンの課題であった「キャリッジの軽量化」を大きく前進させました。出典:http://www.richardmille.jp/watch/RM-70-01_TPT.html↑リシャールミルの2018年新作。キャリッジとトルクリミッティングクラウン(巻きすぎを防ぐために開発された機構)が自転車のチェーンをモチーフとされています。 超複雑機構として、今なお構築することのできる職人が少ないトゥールビヨン。それでも様々な種類が存在することに、各ブランドの試行錯誤への情熱を感じさせられます。そして実は、この機構ををさらにさらに進化させたものが生み出されていることをご存知でしょうか。ジャガールクルトのです。
出典:https://www.jaeger-lecoultre.com/jp/jp/watches/reverso/reverso-gyrotourbillon-2/2332420.htmlジャイロトゥールビヨンとは、ジャガールクルトが開発した、世界初の3D球体トゥールビヨンのこと。「あらゆる体制でも重力の影響を受けない」―。
トゥールビヨンの意義そのものを追求するために開発された機構で、立体的に球体キャリッジが回転することにより重力の影響を最小化するばかりか、目で見ても美しい仕上がりとなりました。パーツにはステンレススチールではなくアルミニウムを採用するなど、機能面で細部にもこだわりを見せます。このこだわりのジャイロトゥールビヨン、永久カレンダーにレトログラード機構をも採用したモデルが・・・もはや鑑賞用の美術品か?と思わせる価格帯です。ちなみに日本のテレビ番組でも紹介され、機構そのものより価格帯にやはり驚かされていました。他の多様化したトゥールビヨンとしては、ジャガールクルトはスフェロトゥールビヨンという独自の多軸トゥールビヨンや、ロジェ・デュブイのメカニズムをつぶさに鑑賞できるフライングトゥールビヨン。そして14日間のパワーリザーブを備えたヴァシュロンコンスタンタンの14デイズ・トゥールビヨンなど、各社個性や高度な技術を活かした、そして誇示したかのように華麗な複雑機構搭載モデルをラインナップし続けています。 一般の方にはなかなか手が出せないトゥールビヨン。
一方で、これをで開発した有名ブランドがあります。かっこいいデザインとコストパフォーマンスの高さが人気のタグホイヤーです。2016年のバーゼルワールドで発表されたキャリバーホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377。出典:https://www.tagheuer.com/en/news/tag-heuer-carrera-heuer-02t近未来的なデザインはそのままに、超複雑機構・トゥールビヨンを搭載させたモデル。高級時計の象徴とも言うべきトゥールビヨンが、なんと定価1,675,000円!安いものでも500万円オーバーが当たり前のこの機構ですが、200万円を切るのです。
この年のバーゼルワールドを多いに沸かせました。タグホイヤーによると、もともとあったクロノグラフCH-80をベースに開発したこと、そしてコストを徹底的に見直したことによりこの驚異の価格を実現したとのこと。クロノグラフも搭載されているにもかかわらず均整とれたダイアルも、ファッション性が高いタグホイヤーならではですね。高級機として聖域的であったトゥールビヨンに一石を投じることとなったタグホイヤー。今後この時計が時計産業全体に影響し、より手に入れやすい相場を実現してくれるかもしれません。 時計技術の最高峰・トゥールビヨンを搭載した、各社渾身の力作モデルをまとめてみました!オーデマピゲ ロイヤルオーク トゥールビヨン クロノグラフ オープンワーク 26347PT.OO.D315CR.01オーデマピゲ2016年新作。
かの有名なジェラルドジェンタ氏デザインのロイヤルオークにトゥールビヨンを搭載させた、最上級の美しさを放つコンプリケーションウォッチです。ケース素材には従来のステンレスではなくプラチナを採用。
未だかつてない重量感と高級感を持ち合わせた仕上がりとなりました。スケルトンダイアルからは自社製手巻きムーブメント2936の精密な動きが鑑賞できます。ケースサイズは44mm。パワーリザーブ最長72時間、20m防水のスペックを誇る最高級の一本です。 オーデマピゲ ロイヤルオーク GMT トゥールビヨン コンセプト 26560IO.OO.D002CA.01.A現行のトゥールビヨン搭載ロイヤルオークの中でも、随一の力強さとかっこよさを誇る一本。最先端の時計コレクターや愛好家のためのモデルですが、男性なら誰でも惹かれる外観と技術を備えているのではないでしょうか。ケースサイズは44mm、パワーリザーブはなんと約237時間!世界三大時計メーカーに数え上げられる、オーデマピゲの高度で革新的な技術を目の当たりにすることができます。100m防水。 タグホイヤー キャリバーホイヤー02T トゥールビヨン CAR5A8Y.FC6377前項でご紹介した、タグホイヤーが時計の歴史に一石を投じることとなった革命機。
素材にチタンを、ベルトにブラックラバー/アリゲーターストラップを採用したことにより、トゥールビヨンとは思えない実用性を誇ります。ちなみにタグホイヤーのトゥールビヨンは全てCOSC認定。ケースサイズは45mm、パワーリザーブ最長65時間、100m防水。 
出典:https://www.breguet.com/en/timepieces/classique-complications/5377トゥールビヨン搭載ながら、3mmという超薄型自動巻きムーブメントCal.581DRを搭載させた、複雑機構のパイオニア・ブレゲスーパーコピーならではの不朽の名作。ブレゲスーパーコピー針や丁寧なギョーシェ彫りが施されたダイアルが、トゥールビヨンの動きを引き立てます。ケースサイズは42mm、80時間ものパワーリザーブを実現。30m防水。 
出典:https://www.alange-soehne.com/ja/news-and-more/tourbograph-perpetual-pour-le-merite/2017年にジュネーブサロン(SIHH)で発表された、トゥールボグラフ・パーペチュアル“プール・ル・メリット”。
プール・ル・メリットとは、1740年にプロイセン王国で制定された最高の名誉勲章からちなまれています。こちらのモデルはトゥールビヨンのみならず永久カレンダー、クロノグラフ、ラトラパント機能、チェーンフュジー機構という五つの複雑機構を同時搭載するというまさに超絶技巧が駆使されたモデル。ものづくりに長けたドイツブランドの底力を感じさせられます。ケースサイズは43mm、パワーリザーブ最長36時間。 
出典:https://www.patek.com/en/collection/grand-complications/6002G-010トゥールビヨンの他、ミニッツリピーター、レトログラード日付表示針付永久カレンダーなど12種もの複雑機構を搭載させるという、世界三大時計メーカーにして創業178年のパテックフィリップだからこそ成しえたもはや偉業とも呼ぶべきグランドコンプリケーション。
2016年の新作です。気品あるホワイトゴールドケースにクロワゾネ七宝とシャンルヴェ七宝で仕上げられた黒七宝のダイアルが配されています。ケースサイズは44mm、パワーリザーブ最長48時間、非防水。
価格は1億5千万円超えとのこと・・・ 長いながい時計の伝統に君臨する複雑機構・トゥールビヨン。
実際に目にしたことのある方は少ないかもしれませんが、今後の技術向上で私たちの手元を彩る日が来るかもしれませんね。多くの時計職人・時計愛好家を虜にしてきた精密精緻で美しい世界。
その一端をお伝えできていれば、と思います。 関連記事世界三大複雑機構 トゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーブレゲスーパーコピーって本当に凄いの?と思って調べたら凄かった!